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防災の備蓄は続かない。これはほとんどの家庭に当てはまる悩みです。押し入れの奥から、賞味期限が3年前に切れた乾パンが出てくる。あの気まずさを避けるための方法が、ローリングストックです。
やり方はとても単純で、普段食べているものを少し多めに買い、古いものから使い、使った分だけ買い足す。それだけです。この記事では、家族4人が1週間しのぐには結局どれだけ必要なのかを具体的な数字で出しながら、無理なく回すコツをまとめます。
まず数字を出す:家族4人・1週間分はどれくらいか
水は84リットル
飲料と調理を合わせて1人1日3リットルが目安です。4人×3リットル×7日で84リットル。2リットルのペットボトルで42本、6本入りの箱で7箱分になります。
数字を見ると多く感じますが、2リットル6本の箱は幅30cm程度です。7箱なら押し入れの下段や階段下に収まります。「無理な量ではない」と分かることが、始めるうえで大事です。
ここに、持ち出し用として500mlのペットボトルを1箱(24本)足しておくと、避難時に分けて持てます。
主食は1人1日3食×7日=84食分
4人家族なら合計84食。これを全部非常食でそろえる必要はありません。内訳の目安はこのくらいです。
- 米:5kg(炊ければ最も安く、量も稼げます)
- パックごはん:24食程度(電気やカセットコンロで温めるだけ)
- 乾麺・パスタ:3〜4袋
- カップ麺・カップスープ:10食程度
- アルファ米・パンの缶詰:12食程度(水も火も限られる場面用)
おかずと汁物
主食だけだと3日目くらいで飽きて、食が細ります。特に子どもと高齢者は顕著です。味の濃いもの、汁気のあるものを混ぜておきます。
- レトルトカレー・丼の素:12〜16食
- サバ缶・焼き鳥缶・大豆の水煮など缶詰:15缶前後
- インスタント味噌汁・スープ:20食前後
- 野菜ジュース:12本(不足しがちなビタミンを補えます)
- フルーツ缶:数缶(甘いものは気持ちを立て直します)
熱源
カセットボンベは1本で約60分が目安です。1週間、1日30分使うとして4本弱。余裕をみて6本以上を常備しておくと安心です。
ローリングストックの回し方
置き場所は2か所に分ける
全部を防災用の棚にしまうと、日常で手が伸びず、結局回りません。おすすめは次の2か所です。
- キッチンの手が届く場所:日常でよく使う缶詰・レトルト・パックごはん。ここが回転する場所です
- 押し入れや階段下:水の箱、アルファ米など出番の少ないもの。半年に1度チェックする場所です
並べ方は「左から古い順」
買ってきたものは必ず右(または奥)に足し、使うときは左(または手前)から取る。この向きを家族全員で決めておくだけで、期限切れはほぼなくなります。
油性ペンで賞味期限を大きく書く
缶やレトルトの印字は小さくて読みにくいものです。買ってきたその場で、正面に大きく年月を書いてしまいます。所要時間は1箱1分もかかりません。
月に一度「備蓄を食べる日」を作る
たとえば毎月1日はレトルトと缶詰で夕食にする、と決めてしまいます。使えば買い足すので、自動的に回ります。同時に、カセットコンロが使えるか、非常食が家族の口に合うかの確認にもなります。
よくある失敗と対策
失敗1:家族が食べないものを買ってしまう
非常食は「安いから」ではなく「うちの家族が食べるか」で選びます。特に子どもは、慣れない味を非常時に食べません。試食してから箱買いする、という順番が確実です。
失敗2:水だけ完璧で、それ以外が空
水は分かりやすいので用意されがちですが、実際に困るのはトイレとゴミです。備蓄を考えるときは、食べる分だけでなく「出る分」もセットで考えます。携帯トイレと防臭袋は、食料と同じ棚に置いておくのがおすすめです。
失敗3:カセットコンロを買って満足する
本体はあるのにボンベが1本しかない、という家庭は非常に多いです。本体よりボンベのほうが重要だと考えて、鍋の季節に多めに買う癖をつけます。
失敗4:ペットと薬を忘れる
ペットフードは支援物資として届きにくいものの代表です。処方薬も同様で、後から手に入れるのが最も難しいもののひとつです。この2つは人間の食料より優先度が高いと考えてよいくらいです。
一人暮らし・二人暮らしの場合
4人家族の数字を人数で割ればおおむね合いますが、一人暮らしは置き場所のほうが制約になります。その場合は次の優先順で。
- 水2リットル×6本を1箱(3日分)
- パックごはん12食+レトルト10食
- カップスープと缶詰を少し
- 携帯トイレ20回分
- モバイルバッテリーとLEDランタン
これならクローゼットの下段ひとつに収まります。まず3日分から始めて、慣れたら1週間分に増やしていくのが現実的です。
まとめ
ローリングストックは、特別なことをしない備蓄です。買い物のときに1つ多くカゴに入れる。それを続けるだけで、気づけば1週間分がそろっています。
9月1日の防災の日は、いい区切りになります。まずは棚を開けて、いま何が何日分あるかを数えるところから始めてみてください。数えると、足りないものが自然に見えてきます。
※必要な備蓄量は家族構成・住環境・地域の想定災害によって変わります。お住まいの自治体が出している備蓄の目安もあわせてご確認ください。

